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2022/03/30 13:11

伊豆のお針子無生庵のオンラインショップでは、積極的に背景画像に日本の代表的な伝統文様を取り入れてまいります。時には趣を変えるために洋柄も使うこともあるかもしれませんが、ほとんど日本の伝統柄を使用して参ろうと考えております。ショップのベースとなるテンプレートは「paristime」という名称で、ヨーロッパのラグジュアリーな雰囲気を出したい人に最適なのだそうですが、伊豆のお針子無生庵は和のテイストをこのテンプレートに載せて「和洋折衷」をひとつの美学のテーマとしてお届けすることに注力します。少しずつ背景となる日本の伝統文様のことなど記して参ります。

● 麻の葉文様…六角形の幾何学模様で麻の葉に似ていることからこの名が付きました。平安時代には仏像の装飾などに使われていたのだそうですが、一般的には私たちが思い浮かぶものは赤ゃんの産着の模様が広く親しまれていると思います。麻の葉は生育が大変早くそのことから「子供の健やな成長を願う」という意味がこの文様に込められたのです。伊豆のお針子無生庵のオンラインショップもスタ-トするのにこの文様を最初に使いました。生まれたてと健やかな成長を願っております。
 そればかりでなく、麻の葉文様は伝統工芸の世界でも多く使われる文様で、箱根の伝統工芸・寄木細工などにもよく見られます。浮世絵、歌舞伎の世界では町娘に欠かせない着物の柄です。
               
                
                    
                                                                               
                                           
                                                                                                 

:::::::::::::今後背景画像として取り入れてまいります日本の伝統文様をご紹介いたします。:::::::::::::::

● 松葉散らし・・・文字通り松の葉を大地に散らした模様です。苔を霜から守るため、庭に松葉を敷き詰めたりすることがあります。昔から松の齢とは長寿という意味で、「不老長寿」の象徴といえます。また、落ち葉になっても二本の葉の元はしっかりつながり離れ離れにならないことから「夫婦円満」という意味もあり、縁起の良い文様です                                                                           

 

● 紗菱形(さやがたと読みます)・・・よく着物の地文にみられる文様です。桃山時代以降は綸子の絹織物によく使われるようになったそうです。端正な卍つなぎを菱状にゆがめた形でつないだ文様で菱万字とも呼ばれています。着物以外にも唐紙や、神社の建築物の装飾などにも積極的に使われています。



      

● 石畳あるいは市松文様・・・おなじみの模様で現代でもよく見られます。碁盤目状の格子模様を色違いで並べた模様です。石畳のようなのでそう呼ばれていたのですが、江戸に入り、歌舞伎が盛んになると「佐野川市松」という役者がこの文様の袴をはいて舞台にたち、当時の女性から大変人気を博し以来「市松文様」と呼ばれることが一般的となったようです。
               
市松に柄が途切れず続くことから、「繁栄」の意味がこめられ、「事業拡大」などの縁起の良い柄として日本人に広く長く親しまれ、好まれている文様といえます。

● 青海波・・・デザインとしては、半円形を鱗状に並べることで波を表現している柄で、広い海のように無限に広がる波文様は、未来永劫に続く幸と平安な暮らしへの願いが込められた吉祥文様です。着物の文様や工芸品によく用いられますが吉祥文なので凶事には使われません。祝いの晴れ着とか、宴会の調度品などにあしらわれることの多い文様です。一般に着物などで使われる文様ではありませんがなじみがあるよく知られている伝統文様といえます。
 しかし、日本古来というよりもペルシャからシルクロードを経て中国、飛鳥時代の日本に伝来した文様であり、飛鳥の埴輪などに青海波が描かれた出土品が発見されています。平安の長編小説、紫式部の「源氏物語」のなかで、光源氏が雅楽を舞う姿が描かれているのですが、その衣装に青海波が描かれていたというくだりがありますが、そういうことから由来は神楽からと言われています。
 江戸時代の漆工に勘七という人がいました。刷毛を上手く使って青海波を描いたことが評判となり、青海勘七と呼ばれ、以来工芸品の文様に広く使われ普及しました。
 この文様には他にバリエーションがあり、破れ青海波文、花鳥青海波文、菊青海波文などがあるようです。

● 流水文様…わかりやすいデザインで水の流れを表現しています。流れる水は常に腐らず清いことから、災難や厄を払ってくれる。というお浄め、火難除けの意味があります。なかでも観世水(かんぜみずと読みます)は、有名な文様で、清流と渦を上手くデザイン化し、能楽の観世家が使ったことから広く知られるようになったもので、沢村家の役者が描かれた役者絵には、必ず観世水の衣装があしらわれていました。着物などには流水文様単独の場合は夏用として、桜と一緒にあしらわれていれば春に、紅葉と一緒ならば秋にと…他の文様と組み合わせて使われることが多い。勿論流水と四季の花ならば通年ということになります。
 
● 立湧文様…たてわく、たちわきと読みます。二本の曲線が、水蒸気や陽炎や雲気などが立ち昇る様子をデザインした縁起の良い吉祥文様であり格式の高い有職文様でもあります。公家階級の装束や調度に用いられた文様が有職文様といいますが、階級によって使用できる文様が決まっていたようです。正倉院裂といって正倉院の宝物として納められる裂にもよく見られます。現在に至るまで様々にアレンジされバリエーション豊富な文様です。たとえば「菊立湧」、「雲立湧」、「波立湧」、「破れ立湧」,「藤立湧」など、他にも現代的な柄を取り入れたりしているデザインも今日多く見られるようになりました。
    
● 江戸小紋文様・・・小紋とは型紙を使って模様を繰り返し「型染め」の工法で反物にしあげたものですが、遠目から見たとき無地のように見えるほどごく細かい柄を、一色のみの型染で染めあげた小紋を特別に江戸小紋といいます。
 一見無地、よく見ると細かい型染めという手の込んだ工法で染め上げた小紋柄。いかにも江戸の粋を感じます。また、武士の裃(かみしも)として格式高く着用されており、各大名家の藩ごとに決められた文様がありました。裃小紋とよばれ、模様に三役がありました。鮫小紋、行儀小紋、通し小紋。因みに鮫小紋は紀州徳川家の文様で現在でも格式高い江戸小紋とされています。これらの江戸小紋は一つ紋入りで、色無地一つ紋同様「略礼式」として、慶弔どちらにも着用されます。その他多種にわたり細かい小さな型染文様がありますので、目を凝らして江戸小紋の文様を楽しむのもいいものです。ちょうどネット上の背景として使用するにはこのように細かい文様のほうが無地より変化に富んで楽しいし使いやすいといえるかもしれません。
   
● 亀甲文様・・・おなじみの吉祥文様の代表です。鳳凰、瑞雲,鶴、獅子,牡丹、松竹梅とともにおめでたい縁起の良い文様として継承されてきた日本の有名な文様です。「鶴は千年、亀は万年』といわれているように長寿吉兆をあらわし、亀の甲羅は固く、身を守るとか健康を願うとかそんな意味を含みます。六角形の崩れない連続文様なのでの「永遠の繁栄」などの意味もあります。最初は貴族だけの文様で格式高く平安では有職文様に、鎌倉になって武士も用いるようになりここで一般の人々に初めて知られる文様となりました。現代でも財布の裏地などに使われ、金運上昇の意味で用いられています。バリエーション豊富です。二重となった亀甲文様は「子持ち文様」といわれ、その他「亀甲つなぎ」、「亀甲花菱」、亀甲を三つ合わせる「毘沙門亀甲」などをいろいろあります。
  
● 秋草文様・・・大陸から伝来した文様が多い中、この文様は日本ならではの代表的伝統文様です。秋の七草は桔梗萩、女郎花、撫子、葛、すすき、藤袴の七種ですが、これに竜胆や菊などの野草を加えて文様化したものが秋草文様といわれています。11世紀末の藤原の時代から今日に至るまであらゆる工芸の分野で使われてきた模様であり、その様が、移ろいゆく時のはかなさや優しい風情、無常観などを感じさせ日本人好みの「もののあはれ」を訴求している文様として好まれてきた由縁のようです。夏の残暑厳しいおりとか、浴衣、夏帯などの文様に季節の先取りとしてふさわしい文様といえるでしょう。
  

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